好きな人物
今、蒼天航路という三国志のマンガを始めからまとめ読みしている。
昔、吉川英治の三国志を読んだときにもオレは荀紣という人物が好きだった。王佐の才と謳われたこの人にとても惹かれた。まだ曹操が地方の一官吏でしかなかった頃から曹操に仕え、曹操の覇業を長年に渡って支え、晩年には曹操に疎まれ寂しい最後を迎えた荀紣が好きだった。
蒼天航路での荀紣は吉川三国志とは違った荀紣像を描いていた。そしてその晩年は辛いものではあるものの、優しさに満ちたものだった。この荀紣像にはほれ込んだ。最後に紙の雪玉を贈る曹操。最後まで純粋に曹操を想い、死によってすべての荷を降ろした荀紣。
吉川三国志ではその死がとても残念に思えたのを覚えている。しかし蒼天航路での荀紣の死はとても安らかなものだった。救いがあった。よかったなぁと思えた。
蒼天航路というマンガ、通して読むととても描写が細かいのがよくわかる。セリフに頼らず自由闊達な表現が込められている。マンガでしかあり得ない表現方法だ。
特に程碰、荀紣、荀攸、楽進といった古くからの重臣達が去っていくエピソードがとてもいい。
すでに蒼天航路は終盤に差しかかっているが、最後まで読みたいと思わせるマンガだ。