相変わらず無責任な死刑廃止論
まず最初にオレの立場を明らかにしておきます。消極的死刑肯定論者です。人が人を合法的に殺せてしまう死刑はない方が良いと思いますが、現実解として死刑を存続させておいた方がよい、という論法です。
三年前にも死刑に関して日記に意見を書きました。意見は変わっていません。
そして今日、死刑に関するニュースが出ていました。
26日の内閣総辞職に伴って退任する杉浦正健法相は、任期中に死刑を執行しない見通しだ。関係者によると、法務省事務当局は今月、執行対象となる死刑囚の記録を杉浦法相に渡したが、法相は死刑執行命令書に署名しなかった。法相が命令書への署名を拒むのは極めて異例だ。
杉浦法相:死刑執行せず 在任11カ月、命令書の署名拒む−今日の話題:MSN毎日インタラクティブ
杉浦法相に関しては「職務を執行できないなら法相を引き受けるな」としか言えません。ただ、他に法相をまかせられる人材がいなかったという事情ならアリだったかとも思っています。
ただ、この記事にある石塚伸一氏のコメントが馬鹿すぎてオレの死刑廃止論者を見る目がいっそう冷たくなりました。
◇慎重な姿勢、評価
▽石塚伸一・龍谷大教授(刑事法)の話 刑事訴訟法が死刑の執行命令を法相に委ねたのは、特に慎重な配慮を求めたからで、時代状況に応じた法相のリーダーシップを期待したとも考えられる。死刑を減らしていくことは世界の潮流で、杉浦氏が執行に慎重姿勢を示したことは評価したい。
杉浦法相:死刑執行せず 在任11カ月、命令書の署名拒む−今日の話題:MSN毎日インタラクティブ
どこが馬鹿なのかというと
死刑を減らしていくことは世界の潮流で、杉浦氏が執行に慎重姿勢を示したことは評価したい。
ここです。
まず、世界の潮流なんぞ関係がない。まったく関係がないとは言わないが、プライオリティは低いだろう。まず真っ先に考慮すべきは国民性、治安状況などなどの日本の事情だ。
世界的にも珍しい戸籍制度は廃止するべきか?
第一、杉浦法相はそんな理由で死刑執行命令書への署名を拒んだのではない。極めて個人的な理由からだ。本人も「(死刑執行命令書に)私はサインしません。私の宗教観というか哲学の問題だ」とコメントしている。間違っても「時代状況に応じた法相のリーダーシップ」の発露ではない。
結局、このコメントを出した石塚伸一氏はまず死刑廃止論ありきで考えているにすぎない。死刑廃止論に有利な「命令書への署名を拒否」という行為だけを取り上げて評価し、「法相の職務を(個人的理由で)執行しない」という側面は無視である。
繰り返しになるが、オレは死刑肯定論者です。更生不可能な犯罪者を法の下に殺す。それは「罪を背負ってしまった命を消し去るという罪を、みんなで背負っていく」という現実解だと考えます。