また蒼天航路の話

昨日から蒼天航路の荀紣の最後のエピソードのところを何度も読み返している。ついでに吉川英治の三国志もひっぱり出してきて、読み返してみたりしている。

物語に夢中になるのは何年ぶりだろう。

蒼天航路は他の三国志にある物語の壮大さはない。あくまで曹操孟徳一人を描く物語だ。ここでは劉備玄徳も孫権も脇役にしかすぎない。

あまりに曹操を美化している気もするが、他の三国志は曹操をあまりに奸雄として描きすぎではないかとも思う。蒼天航路の曹操が一番真実の曹操に近いのではないか。

呂伯奢のエピソードにしても、荀紣の死にしても、うまい解釈をしている。劉備の死後、孔明が魏を攻めることに心血を注いだ理由もすでに描かれている。

ただ惜しむらくは劉備玄徳に説得力がない。劉備になぜみんなが飲み込まれてしまうのか。何に惹かれるのか。そこが描き足りないように思う。

蒼天航路が終わったら、今度は劉備玄徳を主人公にすえて物語を描いてほしい。蒼天航路の劉備に固執する必要はない。蒼天航路の劉備はあくまで曹操孟徳を描くための劉備なのだから。新しい劉備像を見せてほしい。