予測市場の機能とは

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)」の第五章「オープンソース現象とマス・コラボレーション」はとてもおもしろかった。Linuxを代表とするオープンソース、MITのオープンコースウェアウィキペディア、そして予測市場


Linuxオープンソース現象はまだ黎明期だったころからずっと見てきた。Slackware+JEのパッケージを買ってきて、一生懸命インストールしたのを覚えている。あの経験のおかげでOSというものの全体像を理解できた。自宅のPCでUnixが動いた、あの興奮は忘れられない。


MITのオープンコースウェアは発表されたとき、とてもワクワクしたのを覚えている。あのMITの講義がネットで閲覧できる!と。その後も定期的にチェックしていたんだけど、何か熱意が伝わってこない気がした。今回、この本で事情を知ってなるほどと得心した。(詳しくはYukiWikiのMitOpenCourseWareのページを)


ウィキペディア(Wikipedia)は立ち上がったころ、半信半疑だったけれど今では毎日活用している。辞書に載らないような昔の映画、アニメ、雑誌についてなどがあまりに幅広く網羅されているからだ。その後、ウィキクォート(Wikiquote)ウィキブックス(Wikibooks)なんかの派生プロジェクトも出てきて活用の幅が広がった。次から次へとリンクをたどって関連知識を吸収していけるから見ていて楽しい。


そしてこの章の最後に出てくる予測市場を扱った「Wisdom of Crowds」。これを読んでいて何か違和感があったので読み返してみた。

三回目でやっと違和感の正体がわかった。「将来の結果を予測すること」と「複数の選択肢の中から効果が最大のものを選択すること」はぜんぜん違うことなんだな。

予測機能はあるだろうけれど、意思決定システムとしてちゃんと機能するかどうかは別の話なんだ。

予測はたったひとつの将来の結果を追い求めることでしかない。しかし意思決定システムが追い求める結果はひとつじゃない。その是非はいろんな価値観の集合から評価される。むしろ究極の多数決として機能するなら、その結果が否定されるなんてありえないんじゃないか?

「みんなの意見」は案外正しい」ではこの辺り、触れられているんだろうか。


というわけで「「みんなの意見」は案外正しい」、買っちまいました。