至福の酒
いつもは吉野屋で済ます夕食だが、今日は無性に焼き魚が食べたくて店を探してみた。しかしお盆休みの最中でしかも日曜日という日だけあってお店がみんな休みである。困ったもんである。
しかし一軒だけ、近所のお店が開いていた。焼酎がウリの店ということで今まで敬遠していたお店であった。焼酎は苦手なんである。というか日本人なら日本酒を飲め。日本酒なんて呼び方はなっとらん。単に「酒」と呼ぶのだ。
しかし背に腹はかえられぬ。おそるおそる入ったお店。酒はあるのだろうか。しかしこれが最終回逆転サヨナラ満塁ホームランだったのである。
地酒は4種類ほどしかないが、粒選りの酒が取り揃えてある。酔芙蓉もありましたよsa10kazuさん。
まずは万齢というお酒を頼む。これが辛口のくせに濃厚なコクがあって濃い口の料理に負けない。いや、おいしい。
スズキの塩焼きと新秋刀魚の造りで腹を満たした後、半田郷の若竹二合を頼む。名前の通り、若竹でできた青々とした容れ物でだしてくれる。
若竹を一気に傾けて器に酒を流し込む。若竹からあふれるように流れる清水のような酒。そそり立つ気分だ。
器から酒があふれる手前で若竹を慌てて戻す。そして置く。注ぎ口から滴る酒がまた湧き立たせる。
こんなお店が近所にありながら1年以上気づかなかった自分の迂闊に腹が立つ。でも今日見つけられた幸せはそれを上回る。